はまりぶ式宝探し<4>モデルルーム見学を制するための基礎知識

目次

来場予約~現地訪問まで

ここからは、モデルルームを見学する場合の手順に沿って確認していきましょう。まずはともかく来場予約をしなければ始まりません。今時は物件の公式サイトから気軽にネット予約が可能です。物件にもよりますが、1ヵ月程度先までの任意の日を予約することができます。ただし、売主を問わず、平日の1日ないし2日間は休みになっています。

初回の訪問であれば、典型的には2時間のコースが組まれていて、午前・午後の3~4枠の時間帯から選択できます。予約時には、氏名や住所、連絡先などの情報に加え、年収、希望する間取りや予算、家族の人数などの入力を求められることが多いです。なお、ネット予約は前日までに締め切られることが多く、当日急に見学に行きたくなった場合には電話で申し込む必要があります。

だいたいのモデルルームは、駅に近い便利な場所に開設されています。そのため、車などの交通手段がなくても困ることはないのですが、売主によっては最寄駅からタクシー等を手配してくれる場合があります。なお、建物内に設置されたいわゆる現地モデルルームの場合は、当然ですが建物まで行く必要があるので、駅から遠い物件の場合は注意してください。

接客スペースでの初期対応

モデルルームに到着すると、コロナ禍ですっかりお馴染みになった手のアルコール消毒や検温への協力を依頼されます。場合によっては、この段階で使い捨ての手袋の装着も求められます。続いて接客スペースに案内されますが、最近は客と営業マンの間がアクリル板で仕切られています。あまり役に立たないとも言われるフェイスガードを装着している営業マンもいます。コロナ前まではこんなことなかったのですが…!

席に着くと、大抵はアンケート用紙への記入を求められます。ここでの設問はさらに細かくなり、モデルルームへの来場予約時に記入した情報に加え、勤務先の会社名や最寄駅、勤続年数、役職、(世帯)年収、これまでに見学した他社物件の名前や、現在の家の間取りや面積、購入を検討している理由(子供が生まれたから、etc.)、物件所在地との地縁等を質問される傾向にあります。ちなみに、このアンケートの記入に前後して、飲み物のオーダーを取られます。例によってコロナ禍のため、缶やペットボトルで提供している売主が多いです。

アンケートへの記入が終わると、営業マンが名刺を持ってきて面談がスタートします。こればっかりは運ですが、この時に顔を合わせた営業マンが今後の担当者になります。知識が豊富で、愛想が良く、気楽に話せる営業マンに当たることを祈りましょう。ただし、一戸建ての場合は担当の営業マンが建築プロジェクトの成否を分けるくらい重要ですが、マンションの場合はそこまで重大な影響を及ぼすことはないので、あまり気負わなくても大丈夫です。

まずは腹の探り合い

営業マンの方も、最初は客の素性を把握していません。そこで、顧客のアンケートを斜め読みしながら、物件を売り込むきっかけを探ってきます。勤務先の駅までのアクセスが良ければ路線の話題になるでしょうし、顧客が物件のエリアを知っているのであれば地元トークで来るでしょう。回答に困る質問を受けることはまずないので、気楽に答えればよいと思います。

さて、ある程度客の気持ちがほぐれたところで、次の段階に進みます。大規模マンションのモデルルームであればちょっとしたシアターに案内され、気合の入ったプロモーションビデオの上映会があります。この上映会はお客さんの気分を盛り上げて購入意欲を掻き立てる役目なので、売主のブランド力、最寄駅の駅力、物件の存在感、最新設備の魅力などをこれでもかと言うほどPRしてくれます。各社がプライドを懸けたPVは見ごたえがありますし、結構面白いですよ。

ルネ横浜戸塚のモデルルーム
ルネ横浜戸塚のモデルルームの外観。建屋の中は和テイストに仕上がっていた(21年4月撮影)

中規模以下のマンションであればさすがにシアターまで作ることはないので、パソコンのモニターやパンフレットを使用した説明になります。大規模マンションであれば上映会後に接客スペースに戻ってきて、商談再開となります。

ここで、いよいよ顧客が希望する間取りや予算について踏み込んだ質問が始まります。庭付きの1階が良いのか眺望が良い高層階が良いのか、方角や角部屋等の希望はあるのか、必要に応じて将来の家族構成の変化なども話題に盛り込みながら話が進みます。典型的には、この段階でマンションの模型が登場です。この模型は完成予想図を基に作り込まれていて、階層や部屋数は当然のこと、特定の住居に備え付けられるポーチやルーフバルコニー、専用庭などの設備、エントランスや中庭、駐車場などの共用部、周辺の道路なども再現されます。この模型を見ながら、A棟は日当たりが良いとか、B棟の低層階は他の棟に遮られて日差しが悪そうだとか言った全体的な話をするわけです。

なお、この時点で営業マン側が仕掛けてくることもないとは言いませんが、まだモデルルームを見せていない段階ですので、情報収集に専念することが多いです。

自慢のモデルルームへご案内

だいぶ時間がかかりましたが、ここでようやくモデルルーム見学に移ります。玄関の扉や屋外収納から既に実物と同じ造りになっていますので、たとえばハンズフリーキーが採用されている場合には鍵を差し込まなくても開錠・施錠ができる様子を実演してくれますし、自宅前に宅配ボックスがある場合には使い方を説明してくれます。

続いて玄関。下足入れは各社そんなに差がないですが、段数の多さや収納の扉に着けられたスリッパ入れ、あるいは下足入れ下部にコンセントがある場合にはそういったアピールがあります。

次は大抵の場合、主寝室と子供部屋をイメージした洋室の案内があります。ここでは、部屋の形の綺麗さや収納の多さ、採光による部屋の明るさなどがアピール材料です。なお、モデルルームの各部屋は間接照明やアクセントクロス、飾り棚、ピクチャーレールなどによって豪華に装飾されていますが、これらはいわゆるオプションと言って別料金です。3LDKのお部屋にオプションを全力で採用すると700万円~1,000万円くらいすると仰っていた営業マンもいましたので、こういう高価な物に目を奪われすぎないようにしましょう(><)

続いてはトイレ、浴室、ファミリークローゼット(もしくは納戸)などの紹介となります。最近人気のタンクレストイレが採用されている物件はトイレに金をかけていると考えて良いでしょう。断水に弱いという指摘もありますが、見た目がすっきりしているタンクレストイレは評価が高いです。

浴室は1317(1.3 m×1.7 m)もしくは1418(1.4 m×1.8 m)の大きさの物をよく目にします。60 m2台の前半より小さくなると1317、それより大きな部屋では1418が多いです。なお、100 m2台のような大きな部屋では、1620(1.6 m×2.0 m)という余裕の設計になっている場合があります。広いお風呂は気持ちがいいですね。なお、浴室乾燥機は当たり前なので言うに及ばず、ここではミストサウナが付いていると高評価です。いわゆる贅沢設備に該当する代物なので、コストダウンを図っている物件では採用が見送られる傾向があります。

続いていよいよリビングに向かいますが、まずはキッチン周りからの説明になると思います。ここでの確認のポイントは、何と言ってもディスポーザー。卵の殻はダメ、玉ねぎの皮もダメ、魚の大きな骨もダメなど確かに制限はありますが、生ごみをお手軽に処理できるディスポーザーはぜひ欲しい設備です。ディスポーザーはごみ処理の規制上、戸建てで導入することが難しいマンションならではの設備。ある程度以上の規模のマンションなら絶対付けてと思ってしまいます。なお、食洗器はもはや付いているのが当たり前になって来ているので、なかったら売主側のコストダウンが原因だと思って差し支えありません。

リビングは、横に大きな横型リビングと、縦に長い縦型リビングに分かれます。通常、縦型リビングは横型リビングよりも小さくなりますが、隣の洋室との間の仕切りを取り払って連結できる仕様になっている場合が多いです。仕切りを取り払って連結すれば、大抵は横型リビングよりも大きくなります。ただし、横型リビングは窓に仕切りのないワイドサッシを採用している場合があり、開放的な空間を演出できる点では勝ります。リビングに関してはコストダウン要素を挙げづらいのですが、たとえば収納の扉がペラペラだったり、天井が低かったりする場合が該当します。天井は高いに越したことはないのですが、私が追いかける価格帯(4,000万円~6,000万円)の物件ですと、2.4 mであれば普通。それより高ければgoodです。

最後はベランダ。眺望や騒音は再現できないので、広さと設備の確認になります。ベランダの奥行きは1.8 m程度が標準。2 mなら大きいです。あれば便利なスロップシンクは高価な設備なので、付いていたら嬉しいですね。

マンションのベランダとスロップシンク
スロップシンクの例

細かいことを言い出せばまだまだ見どころがあるのですが、まずはこの程度で良いと思います。

いよいよ具体的な話をしようじゃないか

モデルルーム見学を終えて接客スペースに戻ると、いよいよ営業マンが本格的な商談に乗り出してきます。販売価格表の登場です! この価格表には、個々の部屋の値段はもちろん、今購入可能な部屋、売約済みの部屋、今後売り出す予定の部屋(したがって、今は買えない)などの情報が細かく掲載されています。なお、新築マンションのモデルルームオープン直後の時期は、販売価格が決まっていない場合もあります。この場合は、販売予定価格のイメージを教えてもらうことになります。

ところで、最初にアンケート用紙に記入した際、予算を書き入れましたね? しかし、経験豊富な営業マンは、顧客側の予算が平気で数百万円、一千万円単位で上がることを知っています。モデルルーム見学までの間にお客さんの反応が良ければ、高層階や角部屋などの好条件の部屋を持ち出して予算アップを狙って来るでしょう。

ただしこの時、闇雲に販売価格の高い部屋を勧める営業マンは優秀とは言えません。マンションは実に面白い商材です。自分が扱う物件の総戸数が100戸だとしたら、必然的に1位から100位までの部屋が決まります。その100戸の部屋に、年収や家族構成、間取りや方角の好みが違う見込み客を上手く割り当て、完売を目指すのです。したがって、日当たりや眺望などの条件が悪い部屋、平凡ながら高層階を理由に値付けが高くなっている部屋など、比較的売りにくい部屋に誘導できるチャンスは常に考えています。そうと分かれば、私たち購入者側もあまり営業マンの言いなりにならず、自分の好みがあるならはっきりと主張する必要があると言えます。

さて、初回の2時間枠ではいよいよ大詰めになってきました。これ以上は時間切れになりますので、営業マンはお客さんが興味を示した部屋をピックアップし、頭金と銀行からの借入額を仮決めして、住宅ローンを借り入れるための諸経費と、月々の返済額、管理費や修繕費の金額を伝えます。これらの金額はもちろん仮の物ですが、購入を検討するためには必須の情報ですので、ここまでは何とか時間内に収めてくるでしょう。また、次回の予約(※必ずしも決めなくて良いです)や、実際に契約する場合の手順についても教えてくれます。

なおこの時、申込金を払えばご検討中の部屋をキープしますと言われる場合があります。申込金は手付金とは違いますので、申込金を払っても契約を進めることにはなりません。これは、「あなたが気になる部屋を”商談中”ということにして、ご検討いただく間は他のお客さんには紹介しませんよ。検討をやめる場合は返金しますよ」というサービスなのですが、心理的には一度金を払うと契約を撤回しづらくなります。個人的な意見としては、やめておく方が良いと思います。

戦利品に関するアレコレ

お疲れさまでした! 金の話までくれば初回の見学は終了です。典型的には以下の資料を受け取って終了です。また、来場キャンペーン中の売主であれば、ちょっとした景品をくれることもあります(大した物ではないです。洗剤とか…)。

  1. 物件のコンセプトブック
  2. 建物全体および棟ごとの図面集
  3. 間取りの図面集
  4. 価格表
  5. 管理費、修繕費、駐車場料金等の一覧表
  6. 最寄駅もしくはエリアの宣伝資料

顧客側の一工夫

「押しの強い営業マンに当たったら…」、「急かされてつい契約してしまいそう…」。物件探しを始めて間もない頃にそんな不安があるようでしたら、その場で契約しないための工夫を講じましょう。営業マンとの話が相当弾んでも、契約云々の話までしようと思えば、2時間枠ではまず不可能です。したがって、モデルルーム見学後に他の予定を入れておくなどして、「2時間以上は滞在できない」状況にしておけば良いでしょう。もし小さなお子さんが一緒なら、子供の世話を理由に帰宅するのも良いと思います。さすがの営業マンも、それを押し留めることはできませんからね。

再戦に向けて

モデルルーム見学が終わると、営業マンからメールや電話などでフォローアップが来ます。電話は嫌がられる傾向があるためか、どちらかと言えば最初の連絡はメールが多いです。この度はありがとうございました。ご検討よろしくお願いします、程度の挨拶です。

次回の訪問日が決まっていなければ、しばらく間をおいてから勧誘が来ます。もし検討をやめるなら、早い時期にお断りすると以降はメール・電話もなくなります。なお、顧客側はいつでも検討を再開できるので、一度やめたと言っても、後日連絡を取ることは自由です。この段階ではまだコチラに主導権があります。

長くなりましたが、今回はこれで終了です。次回は、営業マンとの再戦や住宅ローンについてご説明しましょう!

横浜を愛するみなさまに届けー!
目次
閉じる